パルミジャーノ・レッジャーノとグラナ・パダーノの違いってなに?
今宵も奥深く濃密なチーズの世界へ、ようこそお越しくださいました。
この時間は、普段聞きたいけど聞けないチーズの素朴な疑問をわたくし、DJゴーダが丁寧にご説明いたします。
本日もチーズラヴァーの皆さんよりたくさんのお便りを頂いております…。
それでは早速、本日のお題に参りましょう。

パルミジャーノ・レッジャーノとグラナ・パダーノの違いってなに?
ラジオネーム "チョコにはコーヒーとミント" さんからのお便りです。
「はじめまして、最近になってチーズの美味しさを知りました。いろいろな種類のチーズがあって面白いですね。ところで、パルミジャーノ・レッジャーノとグラナ・パダーノはとても似ていると思いませんか? 正直、見た目だけだと違いがわかりません。具体的にどんな違いがあるのか教えてください」

チーズラヴァーズの皆さん、こんばんは!今宵も始まりました「Cheese FM」のお時間です。
なるほどな〜と思った話なんですけど、先日とあるテレビ番組で「最新の文房具特集」をやっていたんですよね。
文房具って…、紙を切るのにハサミがあって、文字を消すのに消しゴムがあって、それぞれ既に用途が決まっているところから、どう進化した商品を出すんだろう?と思ってテレビを見ていたんです。
番組では新商品として、ペン先にガイドがついていてまっすぐな線が引けるという蛍光ペンが紹介されていました。つまり、参考書や辞書みたいな分厚い本でもまっすぐな線が引きやすい商品なんですね。
学生でない今でもまっすぐ線が引けなくてもどかしさを感じたことがあったので、細かいニッチな要望に応えた素晴らしい商品だな〜と感心してしまいました!
実はそのペンが欲しくて欲しくて探し回っているのですが、どうしても商品名が思い出せず、まだ出会えていない…という話です。商品名に心当たりがある方は教えてくださいね。
さて、気持ちを切り替えてチーズの話をしていきましょう!今回のお便りは… 「パルミジャーノ・レッジャーノとグラナ・パダーノの違い」を教えてほしいということですね。
違いをお伝えする前にまずは2つのチーズを見てみましょう。

うーん…、確かにそれぞれのチーズを食べつくした私でさえも似ているな…と思います。
ラヴァーズの皆さんはどちらがどちらだかわかりますか?
正解は左が「パルミジャーノ・レッジャーノ」で、右が「グラナ・パダーノ」です。
切り株のような形状、大きさはほぼ同程度の約35kg、外皮の色も似ているとなれば、すぐに違いを見分けるのは難しいかもしれません。外観での違いは、側面に押されているチーズの刻印です。それぞれのチーズには、チーズ名の焼き印が押されています。とりあえず外観に関しては、ここを見れば違いが判りますね!
ではチーズ名の刻印以外で、どんな違いがあるのでしょうか?わかりやすいように表にしてみましたので、こちらの表を見てください。

表を見てわかるのは、まず「産地」が大きく違いますね。…え? 2つともイタリア産じゃないのって? そうそう、2つともイタリア産なんですよ。イタリア産なんですが、2つのチーズはイタリアの中でも作ることができる地域が限られているんです!

図は私が簡単に作った、パルミジャーノ・レッジャーノとグラナ・パダーノの生産地域マップです。見てわかるように、2つとも北イタリアで作られていて、グラナ・パダーノのほうが生産地域が広いことがわかります。
ところで、皆さんチーズのDOP認証のことを覚えていますでしょうか? DOPは、伝統的な生産方法で作られている食品・農産物を守ろう!というEUの制度で、定められた製造方法の厳守はもちろん、製品がその土地の気候や風土を反映した風味や品質であると認められたもののみが、このDOPマークをつけることが許されています。 以前に「DOP(原産地呼称保護制度)とは?」の回で触れているので、復習したいラヴァーズは要チェック!!

で、このDOPがなんだって話なんですけど、パルミジャーノ・レッジャーノもグラナ・パダーノもDOP認証された伝統的なチーズで、その歴史は1000年以上になります。つまり、この2つのチーズは古くから決められた生産地や製造ルールがあって、それがそのまま2つのチーズの違いに繋がるというワケなんですね。
製造回数に言及すると、パルミジャーノ・レッジャーノは1日に1回しか製造ができない決まりになっているので、1日に2回製造できるグラナ・パダーノと比較すると必然的に出来上がる個数は少なくなり、価格においてより高価格なチーズとなります。
また製造のルールで、パルミジャーノ・レッジャーノは一切の添加物の使用を禁じられているのに対し、グラナ・パダーノは卵白リゾチウム(鳥の鶏卵から出された天然のたんぱく質)が使用されます。

グラナ・パダーノの生産地で育つ牛は新鮮な牧草や干し草だけでなく、サイレージ飼料(発酵した保存飼料)を餌として食べるため、そのサイレージの影響でチーズに発生する酪酸菌が異常発酵してしまうのを防ぐために卵白リゾチウムを使用しています。サイレージ飼料を食べたほうが牛さんの消化が良くなるそうですよ!人間の味噌やチーズなどの発酵食品を食べると腸内環境が整う原理と一緒でしょうか?そう考えると、牛が食べる餌からチーズができあがるまでのすべて繋がっていて本当に興味深いですよね。
おっと、熱が入ってついつい長く話してしまいました。
簡単にはなりましたが、パルミジャーノ・レッジャーノとグラナ・パダーノの違いはわかっていただけましたでしょうか?それぞれ長い歴史があるので、イタリアの中でも生産地と細かい製造方法が違うってことですね。
これだけ2つのチーズについて違いがわかっていれば、チーズの食べ比べもより一層楽しめること間違いなし!
ぜひパルミジャーノ・レッジャーノとグラナ・パダーノに想いを馳せながら食べてみてくださいね。
それではまた来週! See you again!