焼いても溶けない?灼熱の太陽が生んだキプロスのチーズ「ハルーミ」の秘密
今宵も奥深く濃密なチーズの世界へ、ようこそお越しくださいました。
この時間は、普段聞きたいけど聞けないチーズの素朴な疑問をわたくし、DJゴーダが丁寧にご説明いたします。
本日もチーズラヴァーの皆さんよりたくさんのお便りを頂いております…。
それでは早速、本日のお題に参りましょう。
焼いても溶けない?灼熱の太陽が生んだキプロスのチーズ「ハルーミ」の秘密
ラジオネーム "豚肉の炭火焼き" さんからのお便りです。
「先日、キャンプでBBQをした際に『焼いて食べるチーズ』としてハルーミというチーズを教えてもらいました。焼いても溶けずに香ばしくなるのが不思議だったのですが、なぜ溶けないのでしょうか?」
チーズラヴァーズの皆さん、こんばんは! 今宵も始まりました「Cheese FM」のお時間です。
連日うだるような暑さが続いていますね。外に出るだけで、お風呂に入っているような暑さには参ってしまいますね……。
暑いとは言いつつも、これからキャンプやBBQに出かけるラヴァーズも多いのではないでしょうか?
今回のお便りにあるハルーミ、実は私も以前スーパーのチーズ売り場でその存在を知って以来、ずっと気になっていたチーズなんです。「焼くチーズ」というパッケージの文言にまず驚きましたし、焼いても溶けずに香ばしくキツネ色になっていくと聞けば、ますます気になりますよね。
あの不思議な性質、ラヴァーズにもぜひ知ってほしい!というわけで、今夜は不思議なチーズ「ハルーミ」についてお話ししていきましょう。
ハルーミとは

ハルーミ(Halloumi)は、地中海に浮かぶ島国キプロスが発祥のセミハードチーズです。
伝統的には羊乳と山羊乳をブレンドして作られ、時に牛乳が加えられることもあります。塩味がしっかりときいていて、生地はキュッキュッとした独特の弾力のある歯ごたえが特徴。キプロスでは国民食とも呼べるほどポピュラーな存在で、2021年にはEUのPDO(原産地名称保護)にも認定され、正式に「ハルーミ=キプロス産」というブランドが法的に守られるようになりました。
なぜ焼いても溶けないのか
チーズが加熱で溶けるのは、たんぱく質(カゼイン)の網目構造が熱でほどけて液状化するためです。しかしハルーミの製法はここが決定的に違います。

通常のチーズは乳を固めた後にそのまま成形しますが、ハルーミは一度固めたカードを、自身から出たホエー(乳清)の中でじっくりと再加熱するという工程を挟みます。
この二段階の加熱によって、たんぱく質があらかじめしっかりと変性・凝固してしまうため、後からフライパンや網で焼いても網目構造がほどけにくい。だから溶けずに、外側だけがパリッと焼き固まっていくんですね!
現地での食べ方
キプロスやギリシャでは、薄切りにしたハルーミをそのままグリルやフライパンで焼き色がつくまで焼き、レモンを絞って食べるのが定番。夏場は焼いたハルーミとみずみずしいスイカ、ミントを合わせるのが現地流のご馳走。塩気と甘みのコントラストがたまりません。近年はイギリスで「ハルーミフライ」として揚げて食べるスタイルも人気で、ビールのお供にもぴったりです。
さて、今晩の「Cheese FM」はここまで!
焼いても溶けないという、チーズの常識をくつがえす面白い性質を持ったハルーミ。暑い夏だからこそ、炭火やフライパンで香ばしく焼き上げて楽しみたい一品ですね。
それではまた来月! See you again!!

