リコッタの魔法、シチリア菓子の秘密
今宵も奥深く濃密なチーズの世界へ、ようこそお越しくださいました。
この時間は、普段聞きたいけど聞けないチーズの素朴な疑問をわたくし、DJゴーダが丁寧にご説明いたします。
本日もチーズラヴァーの皆さんよりたくさんのお便りを頂いております…。
それでは早速、本日のお題に参りましょう。

リコッタの魔法、シチリア菓子の秘密
ラジオネーム "意地悪ウサギが好きになりました" さんからのお便りです。
「こんにちは、いつも楽しく拝聴しています。私はイタリアの“カンノーリ”というお菓子が大好きです。調べるとイタリアのシチリア島発祥のお菓子だそうですね。チーズ×シチリア島でテーマになりそうでしょうか?」

チーズラヴァーズの皆さん、こんばんは! 今宵も始まりました「Cheese FM」のお時間です。
いよいよ本格的に“夏”ですね~。5月頃から既に暑いですが、もう日中は屋外を歩くのが暑さでヘトヘトです。

ところで皆さん、塩分摂取していますか?
夏になると塩飴や塩分チャージタブレットがスーパーで目立ってきますよね。これは汗をかくことで体内の塩分が排出されてしまうので、水分だけでなく一緒に塩分も補給する必要があるからなんです。
そこで私がオススメする塩分摂取方法が、ぬか漬け!
最近ぬか床を買いまして、キュウリやナス等の夏野菜を漬けて楽しんでいます♪ ぬか漬けは適度にしょっぱいので汗で失われた塩分を補うのに丁度よく、食欲が落ちやすい夏にも食べやすいですよ!
乳酸菌も豊富なので腸内環境を整える作用もありますし、ぬか床に含まれるカリウムやマグネシウム等のミネラルも一緒に摂取できます。
この厳しい暑さの夏をぬか漬けで乗り越えましょう!
さて、今回はカンノーリにハマっている方からのお便りです!
ラヴァーズの皆さんはカンノーリって聞いたことありますか? 日本にも専門店があるくらいなので、スイーツのトレンドウォッチャーはご存じかもしれませんね。
カンノーリは写真のように、揚げた筒状の生地にリコッタをベースとしたクリームが詰まったシチリア島発祥の伝統菓子です。カンノーリの詳しい話は実食も交えて後ほどするとして、今回はシチリア島発祥のチーズが使われている伝統菓子について語ってみようかなと思います。
シチリア島とリコッタ
シチリア島発祥のチーズでスイーツに使用されるものといえば、カンノーリにも使われている「リコッタ」がありますね!
リコッタは厳密にはチーズではないですが、チーズ製造から得らえるホエイ(乳清)を濃縮した乳製品なので、ここではほぼチーズということで話を進めていきます。

さて、シチリア島で作られるリコッタは羊乳からでたホエイが使われているのが特徴です。
乾燥した山地や兵陵が多いシチリア島は昔から羊の飼育が盛んで、古代から羊乳チーズの生産が根付いています。
DOP認証を受けた「ペコリーノ・シチリアーノ」や「ヴァストゥッドゥ」などがありますね! それらのチーズを作った際にとれるホエイ(乳清)を捨てずに作られたのがリコッタだったというワケです。
そして、なめらかでクセがなく砂糖や果物との相性がよいリコッタが、ナッツやドライフルーツを使った甘い菓子が多いアラブ文化と融合し、シチリア島のスイーツ文化が発展したということです。
カンノーリ
それでは、リコッタを使用したお菓子を紹介していきますよ~。
まずは投稿者さんもハマっているカンノーリから。

冒頭でお話したように、サクサクに揚げた筒状の生地に甘いリコッタクリームを詰めた洋菓子です。
起源は諸説ありますが、アラブ支配下(9⁻11世紀)のシチリアで生まれたとされていて、もともとはカーニバル限定の祝い菓子だったそうですよ!
今では遠く離れた日本においても通年楽しめる定番スイーツになりましたね。 食べる直前にリコッタクリームを詰めるのが本場流で、エスプレッソやワインと一緒に楽しむのがシチリアらしいスタイルだそう。おしゃれですね~!
私も時間がゆったりと流れるような海辺のカフェで、カンノーリとエスプレッソを楽しんでみたいものです…。
カッサータ
リコッタを使ったシチリアのお菓子といえば、カッサータも有名ですね!
調べてみて驚いたのが、日本で販売されているカッサータとシチリアの伝統的なカッサータは見た目が全然違うんです。

カッサータ・シチリアーナ

日本で売られているカッサータ風スイーツ
私は写真右図がまさに想像していたカッサータだったんですけど、本場シチリアのカッサータは外側が緑色に着色したマジパン(砂糖・アーモンドパウダー・水を練り合わせた甘いペースト)で覆って、フルーツの砂糖漬けで飾り付けするのが伝統的なものだそうです。
いやあ、正直驚きました…。見た目が全然違いませんか!?
両方ともリコッタを使用している点は同じですが、シチリアのカッサータはマジパンでスポンジケーキを覆っているのに対し、日本のカッサータ風スイーツはアイスケーキ風の作りになっています。
日本に流通する段階で形が変わったのでしょうか? それともマジパンが日本で一般的に認知されていないから、マジパンなしでカッサータを作ったのでしょうか!? もし知っているラヴァーズがいたら教えてください。
ちなみにカッサータも、シチリア島がアラブ人の支配下にあった9世紀頃の発祥と言われていて、ノルマン人によってキリスト教の宗教文化が加わったことで復活祭(イースター)等の祝い菓子に発展したそうですよ。
実際に食べてみた
ということで、東京駅の某イタリア食品店で購入したカンノーリ、カッサータ・シチリアーナはどうしても手に入れたかったのですが、残念ながら無理だったので、日本国内の他で販売されているカッサータ風スイーツを購入してきました!


カンノーリはシチリア同様に購入した直後にクリームを詰めていただきました!
トッピングを選ぶことができ、本場に近づけてチョコチップとピスタチオをトッピング。
リコッタクリームが甘すぎず、軽やか! しっかりとコクがあり、リコッタを感じるのに後味はすっきりしていて食べやすかったです。また生地がパリッとサクサクで、香ばしさがリコッタクリームの優しい甘さと絶妙にマッチしていました~。
本場シチリアのお菓子が、日本でも本格的なものが食べられてシンプルに嬉しいですね!
カッサータは想像していた甘くてどっしりというイメージが変わりました。
しっとりとしたリコッタクリームのベースに香ばしいピスタチオがたっぷりで、ひと口ごとに食感が違って楽しさがありましたね~。しかも冷凍のものなので、ひんやり冷たい食感で半解凍で食べるのも美味しいかも…。
贅沢感たっぷりの見た目なので、食後のデザートだけでなく手土産でも喜ばれると思います!
さて、ここまでリコッタを使用したデザートについてお話してきましたが、そろそろお別れのお時間が近づいてきました。
シチリア発祥のお菓子が影響を受けたアラブ文化についても触れたかったのですが、残念ながらお時間がなく、また今度の機会にでもお話したいと思います♪
今回のリコッタのエピソードは、チーズが製造地の生活や文化を大きく反映した食品であることが良くわかるものでしたね。羊乳のホエイを使ったリコッタは食べたことがないので、ぜひ出会ってみたいものです…。
それではまた来月! See you again!!